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21-11-11 12:52
[事件の概要]
被告は2016年2月24日に“”を出願・登録し、自身のフェイスブックページを通して「インスタグラムインフルエンサー及びインスタグラムモデルの発掘事業を行う」と公知した。インスタグラムで活動する有名人と企業を連結して広告紹介料を受け取る事業を運営する目的だった。原告の Instagram は特許審判院に自身の先使用サービス標である“”及び“”との関係において、被告の登録は無効とすべきであると主張する審判を請求したが、審判院は「商標間に密接な関係性があるかのように誤認・混同する余地がない」としてこれを受け入れなかった。
上記審決に不服して原告が特許法院に審決取消訴訟を提起すると、特許法院は原告の主張を受け入れ、原審決を取消した(特許法院 2020ホ4464 判決;確定)。判決の主要内容は次のとおり。
[判決の要旨]
先使用サービス標の使用期間、言論媒体への報道及び全体使用期間にかけてインターネットを通して広まった周知度等に照らしてみるとき、原告の先使用サービス標は、本件登録サービス標の出願日である2016年2月24日当時、既にソーシャルネットワークサービス提供業と関連して、国内外の需要者に少なくとも特定人のサービス標として認識されていた。
先使用サービス標は全体として呼称する場合 ‘イン/ス/タ/グ/ラム’ のように長い5音節からなり、一般需要者が全体として呼称するのに不便であるだけでなく、簡略化された称呼や観念により商標を記憶しようとする一般需要者の傾向により、前半部の ‘Insta’ 部分のみに略して呼称されやすい。また、インターネットポータルサイトで2010年10月6日から2016年2月24日までを対象期間として ‘인스타(インスタの韓国語)’ または ‘INSTA’ で検索すると、原告が提供する ‘Instagram’に関するブログ掲示物が132件、ニュース記事が124件ヒットし、同ブログの掲示物及びニュース記事では原告が提供する‘Instagram’サービスを‘Insta’のみで略称している。さらに、‘Instaハップル(핫플=hot placeの韓国語略語)’、‘Instaスター’、‘Instaマーケット’等、Instagramの‘Insta’部分に他の単語を結合して作った多様な新造語がNAVERブログや言論記事等で使用されている点を考慮するとき、先使用サービス標は‘Insta’部分のみに簡略化され略称されるということができる。
本件登録サービス標の‘MODEL’部分は、指定サービス業と関連して識別力がないので、これを除いて両商標を対照してみると、両標章はいずれも「インスタ」と呼称されて、呼称および観念が同一なので互いに類似するとみるのが妥当である。
また、1) 本件登録サービス標の指定サービス業のうち‘広告及びマーケティング業’等は、先使用サービス標の使用サービス業である‘ソーシャルネットワークサービス提供業’と類似するサービス業に該当するか、経済的牽連関係が認められる点、2) 被告が本件登録サービス標を出願した当時、先使用サービス標の存在を十分に認知可能であったはずであり、その上で本件登録サービス標を‘インスタグラム上で活動するモデル’という意味で使用することにするなど、先使用サービス標に化体された営業上の信用を利用しようとした点、等を総合的に考慮するとき、本件登録サービス標は、先使用サービス標に存在する営業上の信用等に便乗して不当な利益を得ようとする不正な目的で使用する商標に該当する。したがって、本件登録サービス標は無効とされなければならない。
[判決の意味、結果]
本判決は“INSTAGRAM”のように使用されていた先使用サービス標が、需要者の間では“Insta”のみに略称されている事情を考慮し、“Insta”を含めて構成された登録サービス標は標章が類似すると判断してその登録を無効にしたことに意味がある判例であると思われます。尚、本特許法院判決は、登録権者である被告が大法院に上告しなかったため確定されました。