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21-08-18 12:04
大法院は、2021年3月18日の全員合議体判決をとおして、「他人の先登録商標と同一類似する商標の登録を受けて使用したのであれば、後出願登録商標に対する登録無効審決の確定如何に関わらず、先登録商標に対する侵害が成立する」と言い渡した(大法院 2018ダ253444 判決)。
原告A氏は先登録商標“”を登録し、2013年7月からソフトウェア開発·供給事業を行っていた。しかし、2016年にB社が“DATA FACTORY”及びそのハングル音訳を含む"”、“”、“”等の類似する標章を使用しているのを発見し、A氏はB社を相手取って商標権侵害訴訟を提起した。
B社は訴訟係属中に、“”に対し商標登録出願をし、1審弁論終結後に商標登録を受けた。
"" の商標登録出願の審査当時、原告A氏は特許庁に自身の先登録商標と類似することを根拠に異議申立をしたが、特許庁は“”と“”に共通する「DATA FACTORY=데이터 팩토리」部分の識別力を否認し、両商標は全体的に非類似であると判断して後出願商標である“”の登録を許容した。
B社側は「商標登録後に後登録商標を使用することは、登録商標権にもとづく正当な使用に該当するので、先登録商標権を侵害したことにならない」と主張した。
しかし、2審である特許法院では、「데이터 팩토리(DATA FACTORY)」は識別力が認められる部分として商標の要部に該当するので、両商標は類似すると独自的に判断した。
大法院は原審の類否判断結果を維持し、登録商標権にもとづく正当な使用というB社の主張に対し、「先出願主義·商標法の趣旨に照らしてみるとき、知的財産権が互いに衝突する場合、先出願の権利を優先保障するのが基本原理」であり、「後出願登録商標を無効とする審決が確定していなくても、先出願登録商標権に対する侵害となる」として、B社の主張を排斥した。
また、大法院は「後出願登録商標を無効にする審決が確定するまでは、後出願登録商標の積極的な効力を認め、先登録商標権に対する侵害にはならない」としてきたこれまでの大法院判例をすべて変更するとともに、同変更法理は特許権·実用新案権·デザイン権にも適用されると判示した。
韓国特許法、実用新案法およびデザイン保護法には、他人の権利と抵触関係がある場合、後出願の権利は有効なものとみなす代わり、後出願の権利者は先出願の権利者の同意を得た場合に限って、後出願の権利を実施することができると規定している。一方、韓国商標法は抵触関係がある後出願商標権の場合、無効審決が確定するまでは有効で、その使用行為に対しては先出願商標権の侵害等の制裁を加えることができない不合理が発生してきた。今回の判決はこのような問題を解決するため、有効な先·後願権利間の調整を図る特許法等の先·後願権利間の調整法理を商標法にも適用し、互いに抵触する知的財産権間で、先願が優先であるという既存の法理を商標法にも採択したものと解釈される。
また、このような大法院判決により、先登録商標権者は後出願登録商標に対する別途の無効審判請求なしに、直ちに民事上の商標侵害禁止及び損害賠償請求訴訟を提起することができるようになり、訴訟費用や紛争所要期間の側面で有利になった。