Search
Professionals
21-08-18 12:08
グローバルタバコメーカーであるブリティシュ・アメリカン・タバコ社(British American Tobacco、以下、「BAT」)は2021年3月3日、ソウル中央地方法院に韓国フィリップ・モリス社を相手取って特許権侵害禁止訴訟を提起した。BATは、韓国フィリップ・モリス社の加熱式タバコ(Heat-Not-Burn tobacco device)であるアイコス(IQOS)に使用されている加熱技術が自社の特許を侵害したと主張し、アイコスホルダー専用に設計された加熱タバコユニットであるヒーツ(HEETS、which is a designed heated tobacco unit that is intended for exclusive use with the IQOS holder)の生産、輸入を中断することを要求した。
健康への関心が全世界的に増加するとともに、通常の紙巻きタバコの需要が減少するや、グローバルタバコメーカーは加熱式タバコを将来の収益源と判断し、製品の開発に数十億ドルを投資した。
韓国では、2017年に韓国フィリップ・モリス社のアイコス、KT&Gのリル(lil)、BATコリアのグロー(Glo)が発売され、これらの3社が市場を三等分している。韓国フィリップ・モリス社のアイコスは、韓国の加熱式タバコ市場で約60%のシェアで1位を占めている。リサーチ業界によれば、韓国のタバコ市場は2019年から2020年まで17兆ウォン規模で停滞していたが、加熱式タバコは1兆8700億ウォンから2兆200億ウォン規模に成長したと推定される。韓国は、米国、ヨーロッパに比べて市場規模は小さいものの成長中であることから、グローバルタバコメーカーが注目している市場である。
フィリップ・モリス社とBATの加熱式タバコは、タバコを加熱する原理が類似しており、両者間の特許戦争は加熱式タバコの発売時点からある程度予想されていた。2021年3月に韓国で提起された訴訟以外にも、2018年にはフィリップ・モリス社が日本の裁判所にBATのグローがアイコス技術に関する特許を侵害したと訴え、昨年5月にはBATが米国国際貿易委員会(USITC)とドイツの裁判所などに特許訴訟を提起したことが報じられている。
加熱式タバコが発売とともにその需要が爆発的に増加している産業であることを考慮するとき、本訴訟の結果によっては加熱式タバコ分野においてさらなる特許訴訟が拡散される可能性が高いと予想されるだけに、関連企業には多様な特許ポートフォリオを確保するための努力が求められている。