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22-01-14
韓国特許庁によれば、自動車の自律走行のための認知、判断及び制御に大きく影響する自律走行分野の人工知能技術に関する特許出願が2016年から急増している。自律走行分野の人工知能技術に関する特許出願は、2015年までは年間15件ほどで微々たるものであったが、2016年31件、2020年155件へと、2016年を起点として年平均50%ずつ以上急激に増加している。
最近5年間(2016~2020)の全体自律走行技術に関する特許出願は2,860件から4,082件へと年平均9.3%増加しているが、なかでも人工知能基盤の技術に関する特許出願の割合が増えており、2016年以前には1%以内に過ぎなかったものが2019年には5%を超えた。
このような傾向は、最近相次ぐ自律走行車の事故により、人工知能を通じて自律走行の安全性と信頼性を高める技術への需要が高まっているためであると解釈される。
自律走行分野の人工知能技術において核心となる基盤技術の種類と関連しては、認知技術が171件(28%)、判断技術が113件(18%)、制御技術が48件(8%)出願されており、特に認知技術関連出願が最も多い。これは、認知技術が自律走行に重要な車線・交通信号などの静的環境情報と車両・歩行者などの動的環境情報を正確に把握するための核心技術として急浮上しているためであると分析される。
2011年から2020年まで、全体自律走行技術分野の多出願企業は現代自動車(2,863件)と起亜自動車(1,895件)などであったが、人工知能関連技術では LG電子が最も多い66件を出願した。続いて、サムスン電子が27件で2位を占め、現代自動車は18件で3位であった。
一方、自律走行技術の開発が本格化するとともに、車両のフロントガラスを活用したディスプレイ(ヘッドアップディスプレイ、Head-Up Display)技術への期待感も高まっている。
マーケット・リサーチ報告書(Market Research Reports)によれば、ヘッドアップディスプレイ市場の規模は2020年の13億ドルから2025年には46億ドル(年平均28.5%成長)に達すると見込まれる。
このように、市場規模の成長とともに拡張現実(AR)を活用したヘッドアップディスプレイに対する企業の投資・開発も拡大している。現代モービスは、デジタルホログラム専門企業であるイギリスのEnvisics社に投資を拡大(2020年10月)し、ホログラム基盤のAR HUD技術協力を推進しており、LG電子は、電気スポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)に初めて適用されるAR HUD技術をフォルクスワーゲンとともに開発(2020年12月)した。
韓国特許庁によれば、車両用ヘッドアップディスプレイ関連の特許出願は2011年の27件から2020年の102件へと年平均14%増加した。
技術別では、映像の品質を高める技術(412件、47%)に続き、装置の小型化又は部品性能の低下を防止する技術(155件、18%)、周辺環境を検出する技術(127件、14%)、運転者の動作・視線・音声を利用して映像を制御する技術など(79件、9%)が多数出願された。
出願人別では、伝統的な自動車メーカーである現代モービス(93件)、現代自動車(80件)、現代オートロン(71件)だけでなく、LG電子(57件)、サムスン電子(36件)、LGイノテック(17件)、SKテレコム(17件)などの電子・通信業界の特許出願も活発に行われている。
また、自律走行車の商用化の趨勢、消費者便宜及び道路安全への関心の高まりにより、第四次産業革命時代の技術を道路に融合させ、道路・交通情報などのデータを収集、分析、加工した上でこれを提供するデジタル道路に関する特許出願も2010年の53件から2019年の219件へと4倍以上増加し、年平均約17%の増加率を示している。
主要技術別では、道路インフラ及び交通管理システムを含むデジタル道路インフラ(SOC)関連技術が665件、道路の企画から設計、施工及びメンテナンスに先端技術を適用したデジタル道路施工関連技術が369件だった。
自律走行技術は、単に自動車自体の技術だけでなく、道路インフラ及び交通インフラなどの多様な技術を融合させなければならないだけに、企業の共同投資及び共同研究開発の増加とともに融合技術に関する特許出願を共有する企業も増えることが予想される。特許権の共同所有は、互いに異なる利害関係を有する企業間にて紛争の原因にもなりえるので、共同投資又は共同研究開発の初期に研究結果物(例えば、特許権など)の所有関係を明確に整理しておくことが望ましい。