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22-01-14
特許法・商標法・デザイン保護法一部改正案が2021年9月29日に国会本会議を通過し、2022年4月20日から施行される。主要改正事項は次のとおりである。
1. 特許法・商標法・デザイン保護法共通改正事項
拒絶決定不服審判の請求期間が3ヶ月に延長 : 拒絶決定不服審判請求期間(再審査請求期間)が現行の拒絶決定書の受領日から「30日」が「3ヶ月」に延長される。これにより、出願人は期間延長をしなくても審判請求を準備する期間を十分に確保することができるようになると思われる。
出願人の権利回復要件の緩和 : 出願過程で書類提出期間や手数料納付期間を逃して権利が消滅した場合に対する、無効処分の取消し及び権利回復の要件が、現行の「責任を負うことができない事由」から「正当な事由」に変更・緩和される。特許庁は、出願人の持病、特許顧客相談センターの誤案内、手数料振替のエラーなどが「正当な事由」の事例に含まれると判断し、現在、より具体的な基準を準備している。
分割出願における優先権主張の自動認定 : 先出願に優先権主張があれば、先出願に対する分割出願の際にも優先権主張を自動的に認め、優先権主張の欠落により出願が拒絶される問題が発生しないようにした。
2. 特許法改正事項
拒絶決定不服審判が棄却された場合、特許可能な請求項の分離出願可能 : 現行の特許法では、拒絶決定不服審判が棄却されると、特許可能な請求項が一部存在していても特許出願全体が拒絶されるという問題があった。改正法では、拒絶決定不服審判で棄却審決が下されても、特許可能な一部請求項が存在する場合には、審判終決後、法院に提訴する前に当該請求項を分離して出願することができる分離出願制度を新たに導入した。これにより、出願人の権利獲得の機会が拡大されるものと思われる。
再審査請求対象の拡大 : 現行特許法では、拒絶決定書が発行された場合、明細書又は図面を補正して再審査を請求することができるようにしている。しかし、改正法では、特許決定書の受領日から設定登録料を納付するまでの期間中でも再審査を請求することができるようにし、再審査請求の対象を拡大した。これにより出願人は、特許決定後に発見された請求項及び明細書の誤記や誤謬などを修正し、請求の範囲を修正する機会を持てるようになった。
国内優先権主張出願の対象を拡大 : 特許決定後でも登録料の納付前であれば、当該特許出願の出願日から1年以内にこれに基づいて国内優先権主張出願をすることができるようにすることで、国内優先権主張出願の対象を特許決定された特許出願に拡大した。現行の特許法では、国内優先権主張の基礎になる先出願が出願日から1年以内に迅速に特許決定された場合、これに基づく改良発明に対する国内優先権主張出願ができないという問題があった。しかし、改正法では、先出願が迅速に審査されて特許決定された後でも、先出願日から1年以内であれば、登録料の納付前に改良した発明に対し国内優先権主張出願をすることができ、国内優先権主張出願の対象が拡大された。
特許審判に専門審理委員制度を導入 : 特許審判院の審判長は、必要と判断される場合、関連技術分野の1名又は複数の専門審理委員を指定して特許審判に参加させることができるようになった。また、当事者は、必要な場合、審判長に専門審理委員の参加を提案することができるが、参加させるか否かは審判長が最終的に決定する。これにより、民間の技術専門家が中立的な立場から提示した意見が審理に活用され、審判官の迅速かつ正確な判断に大きく寄与することが期待される。
3. 商標法・デザイン保護法改正事項
商標、デザイン登録決定後の職権再審査可能 : 登録決定された商標・デザイン出願が設定登録される前に審査官が明白な拒絶理由を発見した場合、登録決定を取り消し、職権で再審査することができるようにした。これにより、無効事由のある不良権利の発生を事前に遮断し、紛争の余地を防止することができるようになった。
デザイン再審査請求時の補正機会を拡大 : これまでデザイン登録拒絶決定に対する再審査を請求する場合、「再審査請求時」に補正書を提出しなければならなかったが、改正デザイン保護法では、これを「再審査請求期間内(拒絶決定書の送達を受けた日から3ヶ月以内)」に提出するように改正し、出願人の負担を緩和した。