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22-04-22
商標使用行為類型を拡大し、商標出願に対する部分拒絶制度・再審査請求制度を導入するため、2022年 2月3日、商標法一部改正がなされた。
1. 商標使用行為類型の拡大 (2022年8月4日施行)
これまでの商標の‘使用’は、通常の商品の占有・移転を前提とする譲渡等に限定されており、オンライン上で提供されるデジタル商品の流通行為には適したものではなかった。そのため今回の改正商標法では、‘商標が表示されたものを電気通信回線を通して提供する行為、又はそれを目的に展示・輸入・輸出する行為’を商標の‘使用’に含めることで、デジタル商品のオンライン流通行為が法律上商標の使用行為に含まれるようにし、現実的に商標権の保護を強化することになった。
例) ‘ソフトウェア’、‘コンピュータープログラム’、‘電子書籍’、‘顔文字’等のデジタル商品に商標を表示して購読サービスを提供又はアップロードする行為
2. 部分拒絶制度導入 (2023年 2月4日施行)
現在、拒絶理由のあるのが一部指定商品のみであるとしても、出願人が拒絶理由のある商品を削除又は補正しない場合、拒絶理由のない商品まで拒絶決定されている。
しかし、改正商標法では、一部指定商品にのみ拒絶理由がある場合、出願人が商品削除等の別途の措置をとらなくても、拒絶理由がない商品は商標登録を受けられるようにすることで、商標登録出願手続きや制度に不慣れで、拒絶理由通知に時間、費用等の問題により適切に対応できない出願人の商標権確保に役立つようにした。
また、拒絶決定不服審判の場合、これまで全体商品を対象としてのみ審判請求が可能だったものを、拒絶決定された商品の一部のみを対象としても不服審判請求ができるようにするだけでなく、審判請求対象の一部に対する審判請求の取下げもできるようにし、出願人の便宜が高められた。
3. 再審査請求制度導入 (2023年2月4日施行)
現在審査官の商標登録拒絶決定に対しては、拒絶決定不服審判請求のみが規定されており、拒絶決定理由を簡単に解消できる場合でも、必ず審判を通さなければ克服できなかったが、商品補正等により簡単に拒絶理由を解消できる場合には、不服審判請求以外に審査官に再審査を請求できる手続きを新設することで、出願人が拒絶決定を克服できる機会が拡大された。
今回の商標法改正により導入された部分拒絶制度と再審査請求は、出願人の商標権確保に役立つことが期待される。
また、オンライン上のデジタル商品の流通行為が商標使用の類型に含まれたことで、デジタル商品取引環境の変化が商標法に反映されることになった。