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22-07-21
LG電子は2022年4月、市場の期待値を上回る2022年第1四半期の実績を公開した。LG電子の2022年第1四半期の売上高は21兆1,114億ウォン、営業利益は1兆8,805億ウォンだった。前年同期比で売上高は18.5%、営業利益は6.4%とそれぞれ増加し、売上高、営業利益とも過去最高値だ。
これと関連して、LG電子は実績発表にて「特許収益が一時的に増加し、全営業利益に肯定的な影響を与えた」としつつも、契約上の秘密保持条項を理由に特許収益の規模は明らかにしなかった。
業界では、特許収益はLG電子が保有しているモバイル・通信関連特許から発生したものと推定している。実際、LG電子は2021年末に欧州の携帯電話会社Wikoの親会社である中国のTinnoと「LTE通信標準特許」に関するグローバル特許ライセンス契約を締結した。これは、LG電子がWikoを相手に提起したドイツ内における販売禁止訴訟の裁判を3日後に控えて合意を導き出したことによる結果だ。これに先立ち、LG電子は2018年、ドイツ・マンハイム地方裁判所にWikoを相手取ってLTE通信標準特許3件に対する特許侵害禁止訴訟を提起し、翌年の2019年、3件とも勝訴判決を受けた。その後、LG電子はWikoが提起した控訴審でも勝訴した。
また、LG電子は2022年3月に株主総会を開催し、事業目的に「特許等知的財産権のライセンスアップ」を追加した。これに先立ち、LG電子は、2021年第2四半期実績発表カンファレンスコールにて「MC事業本部は2万4000個程度の通信特許を保有しており、核心IP資産をスマート家電、モノのインターネット(IoT)、インフォテインメント等に積極的に活用する計画だ」としつつ、「特許資産を活用した新しい事業モデルを検討している」と明らかにした。
証券業界もLG電子の特許収益に注目している。証券業界では、特許収益の具体的な内容は把握し難いと言及しつつも、その規模を4000~8000億ウォン前後と推定している。また、証券業界では、上記収益は特許を売却して創出した収益ではないため、これと関連して今後も追加利益が発生し得ると予測し、特許資産の事業化を進めた最初の成果として意味があると評価した。
LG電子は2021年にモバイル事業から撤退したが、2029年に商用化予定の6G等次世代通信技術の開発は継続中だ。去る2019年に韓国科学技術院と「LG-KAIST 6G研究センター」を設立し、2022年初めにはグローバル無線通信テスト計測機器メーカーであるKEYSIGHTとの協業を強化する等、6G核心源泉技術の確保に拍車をかけている。最近では、LG電子の特許関連訴訟とライセンシング戦略を担当する特許センターで特許管理会社(NPE)等との訴訟に対応するための特許人材の充員に着手した。
LG電子関係者は「未来事業に関連する核心技術開発を進め、通信技術を含め各分野別に核心的なIP資産を確保し、IP資産の収益化を積極的に推進する計画だ」と述べた。
これまで優れた特許を保有しているにもかかわらず特許収益化に消極的だったLG電子が、本格的に特許収益化戦略を推進しているので、既存の競合他社だけでなくモノのインターネット(IoT)、インフォテインメント事業等に参入するスタートアップメーカー等の新規事業者も、LG電子の特許出願動向に積極的に関心を持つ必要があると思われる。