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23-11-28
許可による存続期間延長出願(以下、PTE出願)における延長期間は、「許可を受けるために特許発明を実施できなかった期間」から「特許権者の責任ある事由により所要された期間」(以下、帰責期間)を引いた期間である。これと関連して特許庁は、許可手続きにおいて食薬処の資料補完要請に対して特許権者が資料の補完にかかった期間は特許権者の帰責期間とみなし、延長期間から除外する審査実務を運営してきた。ただし、食薬処の許可審査が複数の審査部署により同時に行われる事情を勘案し、食薬処内のいずれかの審査部署の資料補完要請により特許権者が補完期間を所要したとしても、その期間中に他の審査部署で審査が進められていた場合には該当期間は帰責期間と見なされない。すなわち、食薬処内のすべての審査部署で特許権者の資料補完により審査が進められなかった期間のみを帰責期間と解釈していた(大法院2017フ844、2017フ882判決など)。
しかし、最近特許法院は、食薬処の資料補完要請による特許権者の補完期間を特許権者の帰責期間と推定することはできないと判断し(特許法院2023年7月5日宣告、2022ホ3533、3557(併合))、帰責期間に対する解釈を従来よりも特許権者に有利に解釈した。具体的な判断根拠は次のとおりである。
i) 存続期間延長の対象及び要件を規定している特許法及び特許法施行令のどこにも、特許権者の資料補完期間を帰責期間として法律上推定する又は見做すという規定は存在しない
ii) 特許権者の資料補完期間を帰責期間とするためには、特許権者の帰責事由と許可遅延との間に特許権者の帰責事由により許可が実際に遅延したという因果関係がなければならない
iii) この因果関係を判断する際には、許可の遅れが特許権者が社会通念上一般的に要求される注意義務の不履行によるものか否かを判断するが、特許権者には必要な資料をすべて完備して許可を申請し、食薬処内のすべての審査手続きが同時にされるようにすべき注意義務があるわけではなく、特許権者の許可申請当時に要求される必須資料が具体的に何であるかそのすべてを把握することが社会通念上期待されているわけでもない
本事件は現在大法院に係属中であり、まだ最終判断が出ていないので、大法院が当該判決を支持するかどうかさらに見守る必要があると思われる。しかし、もし大法院が当該判決を支持する場合、特許権者の補完期間における帰責事由の有無の立証により、存続期間延長期間の算定が異なることになるので、相当な混乱が予想される。