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23-05-11
韓国の特許法、商標法、デザイン保護法はそれぞれ権利回復に関する規定を含んでいる。「権利回復」とは、特許庁に対して特許、商標、デザインに関する手続きをする者が、意図せずに期間を徒過して手続きが無効となったり、権利が消滅した場合に、当該手続きを継続できるよう無効処分を取り消す、又は消滅した権利を回復させる制度をいう。このような権利回復の要件を、既存の「責任を負うことができない事由」から「正当な事由」に緩和した改正法が2022年4月20日から施行されている。
改正法における「正当な事由」とは、当事者が置かれた状況に応じて要求される一般的な注意を払ったにもかかわらず期間を守ることができなかった事由を意味し、個別事例に基づいて総合的かつ具体的に判断される。特許庁は改正法の多様な権利回復審査事例を載せたガイドラインを配布している。
当所が特許登録料の納付期間が徒過した事件に対し、改正特許法による「正当な事由」を疎明しながら特許料を納付することにより当該特許権を回復した事例があるので、これを紹介する。
本件はロシア所在の会社の特許出願で、2021年10月に特許決定書が発行され、特許権の設定登録を行うためには特許登録料を2022年1月(特許決定書の発行日から3ヶ月以内)までに納付しなければならなかった。ところが、2021年12月頃当該特許の出願人はロシア所在のメインバンクから海外送金取引を仲介できなくなったとの通知を受け、他国で新規口座開設もできなくなった。その後、特許登録料に対する6ヶ月の追加納付期間も徒過した2022年9月に他国での新規口座の開設に成功した出願人は、当所に当該特許権の回復申請を依頼した。
そこで当所が、国際的経済制裁による海外送金取引の不能状態は、特許登録料を納付できなかった正当な事由に該当することを特許庁に疎明したところ、特許庁はこれを受け入れ、当該特許権は設定登録された。
これは、当所が顧客の多様な要求に積極的に対応し、最善の結果を引き出した事例と考える。