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23-05-11
商標出願人の権利獲得の便宜をはかるために新設された部分拒絶制度及び再審査請求制度が、2023年2月4日以降の商標出願に適用されている。
これまでの商標法では、商標出願書に記載された指定商品の一部のみに対して拒絶理由が通知された場合でも、拒絶理由のない指定商品を含む全体を拒絶決定する“全部拒絶制度”が運営されてきた。
しかし、2023年2月4日施行の改正商標法では、第54条として一部指定商品にのみ拒絶理由がある場合、出願人が指定商品を削除/補正せずとも拒絶理由のある指定商品のみを拒絶決定する“部分拒絶制度”が導入された。
これにより、拒絶理由がないか解消された一部指定商品に対しては出願公告が保留され、拒絶理由があるか解消されなかった指定商品に対してのみ‘拒絶決定書’が通知されることになった。また、これまでの商標法では拒絶決定不服審判を請求しようとすれば、すべての指定商品に対して請求しなければならなかったが、改正法により、拒絶決定された指定商品のみを対象として拒絶決定不服審判を請求できるようになった。
また、改正商標法第55条の2として“再審査請求制度”が導入された。これまでの商標法では拒絶決定書が通知された後、指定商品の一部のみを補正する等、拒絶決定理由を簡単に解消できる場合でも、補正機会を得るためには必ず拒絶決定不服審判を請求しなければならなかった。しかし、改正商標法第55条の2により、商標出願に対する拒絶決定理由が指定商品の補正により簡単に解消される場合、指定商品を補正するとともに再審査を請求することができるようになった。これにより、拒絶決定不服審判を請求することなしに該当事件を審査した審査官に迅速な判断を受けることが可能になった。但し、国際商標登録出願には再審査請求制度は適用されない。
このような商標法の改正により、拒絶決定書に対応する出願人の選択が拡大されたが、部分拒絶されたとき、拒絶理由がないか解消された指定商品は、部分拒絶された指定商品の拒絶理由が解消されるまで審査が保留されることになるので、迅速な商標権の確保のためには、拒絶理由がないか解消された一部指定商品に対し分割出願を進める等の対応をとることが望ましいと思われる。