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23-08-28
企業のデザイン権利保護を拡大する趣旨のデザイン保護法改正法律が2023年6月20日公布された。改正デザイン保護法により、(1) 関連デザイン出願期限が拡大され、(2) いつでも新規性喪失の例外主張が可能になり、(3) 条約優先権主張要件が緩和された。
(1) 関連デザイン出願期限が1年から3年に拡大
これまで1年以内に制限されていた関連デザインの出願期限を、基本デザインの出願日から3年以内に拡大し、後続デザインの適切な保護を通して企業のデザイン競争力の強化を図る。
デザインは一度創作されると、その変形デザインが継続的に創作される特性がある。一部変形されたデザインを'関連デザイン'として出願すれば、自身の基本デザインの権利範囲(類似範囲)を拡張する効果がある。 関連デザインは基本デザインと別途の権利を有するが、関連デザインの保護期間は基本デザインの保護期間満了日と同一であり、関連デザインとして出願するには基本デザインの出願日から1年以内に出願しなければならない。
下記韓国企業のデザイン改良変形した上市例にもとづいてみると、改正前には1世代デザイン“”の化粧品デザインを上市した後、1年以内に上市された3世代デザイン“”までのみ関連デザインとして確保することができた。しかし、改正法によれば1世代デザイン“”を基本デザインとして出願した後、3年以内となる5世代デザイン“”までを関連デザインとして権利確保することができる。したがって、上市された製品のデザインの市場における反応がよく、最初に出願したデザイン出願日から3年が経過していないのなら、関連デザインを出願することをお勧めする。
(2) 新規性喪失の例外主張はいつでも可能
これまでの新規性喪失の例外主張趣旨及び関連書類の提出時期を既定した手続き的条項(第36条第2項)を削除し、時期を問わずに新規性喪失の例外を主張できるようになった。新規性喪失の例外主張は、公開から12ヶ月が過ぎていないデザインに対しては例外を認め、登録を受けることができる制度だ。
過去には出願前に公開されたデザインに対しては、新規性喪失例外主張を予めしておかなくては侵害/無効訴訟等の紛争過程で出願前に公開された証拠にもとづき、デザイン権者が不利な判断を受けることがあった。 しかし、改正法によって、デザイン公開時から12ヶ月以内に出願された場合には、侵害/無効訴訟にて新規性喪失の例外主張をしていない証拠を相手方が提出したとしても、デザイン権者はいつでも新規性喪失の例外主張をすることができことになったので、デザイン権者の権利保護に有利になった。
<新規性喪失の例外主張が可能な時期>
改正前 |
改正後 |
l 出願時 l 登録決定前 l 異議申立に対する答弁書提出時 l 無効審判に対する答弁書提出時 |
l いつでも可能 |
(3) 条約優先権主張要件の緩和
これまでは優先権主張のための方法や手続きが厳格だったが、その要件を緩和し条約優先権主張期間を正当な事由により守れなかった場合には、当該期間の満了日から2ヶ月以内に優先権主張することができるようにし、また、条約優先権主張をした者は出願日から3ヶ月以内に優先権主張を補正又は追加することができるようになった。
権利回復審査のガイドラインによれば、正当な事由とは一般的な注意義務をつくしたにもかかわらず、期間が懈怠された場合のことをいい、その例示としては、応急状況の疾患、代理人の急な辞任等がある。実際に正当な事由と認められるか否かは各事案により総合的、個別的に決定される。条約優先権主張要件が緩和されることにより、国内デザイン保護法は主要国の法制との調和をなすことになった。
<条約優先権主張要件の緩和>
改正前 |
改正後 |
l 優先権主張期間 : 6ヶ月 l 補正のみ可能 l 書類提出期限 : 3ヶ月 |
l 優先権主張期間 : 6ヶ月+2ヶ月(正当な事由) l 補正及び追加が可能 l 書類提出期限 : 3ヶ月+2ヶ月(正当な事由) |
今回の改正法は2023年12月21日から施行され、施行後に出願されたデザイン登録出願から適用される予定であり、改正された関連デザイン制度は2022年12月21日以後に出願された基本デザインに対して適用される。