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23-08-28
韓国の公正取引委員会(以下、「公取委」)は2016年、クアルコムが市場での支配的地位を乱用し、競争モデムチップセットメーカーと携帯電話メーカーの事業活動を妨害した嫌疑で摘発し、是正命令及び課徴金1兆311億ウォンを賦課した。公取委が指摘したクアルコムの行為は、大きくは“標準必須特許ライセンスの拒絶及び制限行為”、“モデムチップセットの供給とライセンスの連係行為”及び“不公正なライセンス契約締結行為”の3つに分けることができる。クアルコムは公取委の処分を不服として行政訴訟を提起し、2019年、ソウル高等法院は不公正なライセンス契約締結行為に対する公取委の処分は一部違法であるものの、その他の行為に対する公取委の是正命令及び課徴金賦課処分は全て適法であると判断した。公取委とクアルコムはいずれも大法院に上告したが、2023年5月、大法院は両上告を全て棄却し、クアルコムに対する公取委の課徴金賦課額が確定された。クアルコムに対する課徴金は公取委が単一事件で賦課した歴代最高金額だ。
次いで、公取委は2021年、ブロードコムがサムスン電子に対し2021年から3年間ブロードコムのスマート機器部品を毎年7.6億ドル以上購入し、実際の購買金額が該当金額に達しない場合、その差額をブロードコムに賠償する旨の契約締結を強制した事案について調査を開始した。公取委の調査に対してブロードコムは、2022年7月に同意議決(法違反の疑いのある事業者が是正方案と被害救済方案を提示し、違法性を問わず事件を速かに終結する制度)を申請し、公取委は2022年8月、ブロードコムが提示した是正方案について同意議決の手続きを開始すると決定した。しかし、2023年6月、公取委は200億ウォン規模の共生基金を含むブロードコムの最終同意議決案が被害補償として適切でないと判断してこれを棄却し、ブロードコムに対する法違反の有無及び制裁水準の審議に着手した。ブロードコムに対する制裁の有無及びその程度は年内に決定されることが予想される。
このように半導体市場にて一部事業者による競争制限行為が持続的に発生していると判断した公取委は、半導体産業における新規事業者の参入阻害、競争事業者の排除、不当な取引拒絶、価格及び取引条件の差別的取扱い及び取引上優越的地位を利用した購入強制行為の有無などの実態調査に着手し、市場現況を把握した上で競争制約要因を点検する計画だ。