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24-08-29
最近、全世界的な二次電池市場の急成長にともない、二次電池業界における技術盗用が深刻な問題になっている。韓国の二次電池メーカーはこのような技術盗用に対して強硬な対応をとることを宣言し、近づくグローバル「特許戦争」に備えている。特に、韓国の二次電池分野の大手3社(LGエナジーソリューション、サムスンSDI及びSKオン)は、中国バッテリーメーカーの市場シェア拡大を牽制するために多数の特許出願による特許障壁を設ける一方、確保した特許権を攻撃的に活用する方案を模索しているものと思われる。
LGエナジーソリューション(LG Energy Solution, Ltd.)は後発メーカーの特許無賃乗車に強硬対応するという方針を明らかにした。LGエナジーソリューションが保有している二次電池関連登録特許は3万2,600件余り(2024年第1四半期基準)に達するが、そのうち競合他社が侵害したか侵害が予想される「戦略特許」数は1,000件余りに達する。特に、既に無断使用が発覚した特許約580件に対しては訴訟及び警告などを通じて対応する姿勢だ。
また、LGエナジーソリューションは最近、パナソニックエナジー株式会社(Panasonic Energy Co., Ltd.)と共にハンガリー特許管理専門会社(NPE)であるチューリップイノベーション(Tulip Innovation Kft.)を特許ライセンスエージェントに選定した。チューリップイノベーションは今年5月、LGエナジーソリューションとパナソニックエナジーの1,500以上の特許ファミリーからの5,000以上の特許により構成されたポートフォリオを基盤とする新しい特許ライセンシングプログラムの開始を発表した。
一方、SKオンとサムスンSDIはこれまでのところ、二次電池関連特許出願の件数を増加させて特許障壁を構築することに力量を集中していると思われる。
このため、SKオン(SK On Co., Ltd)は2024年第1四半期の知識財産権出願件数を昨年第1四半期(1,232件)よりも400件多い1,632件まで増加させる一方、2024年5月だけで36件の中国特許を確保するなど新規特許の確保に多くの努力を傾けている。サムスンSDI(SAMSUNG SDI Co., Ltd)も最近「特許が未来だ」というスローガンの下で「IP Fair」を開催し、全社員の特許認識の向上と特許出願の奨励に努めている。
一方、このような韓国の二次電池業界の動きに歩調を合わせて韓国特許庁も迅速に動いている。韓国特許庁は2024年6月、二次電池関連技術の迅速な特許確保を支援するために、総勢83名からなる「二次電池専担審査組織」を発足させた。二次電池優先審査の施行及び民間審査官の採用に続き、専担審査組織までを始動させることで二次電池分野出願の特許審査パッケージが完成し、これにより迅速な権利化が可能になった。
韓国二次電池分野の大手3社及び特許庁の最近の動きに照らしてみると、二次電池分野のグローバル特許戦争が差し迫っているものと予想される。これに備えて、国内外の二次電池関連メーカーは二次電池関連保有特許の量的な拡大、核心特許の確保など二次電池特許ポートフォリオに対する戦略を再点検する必要があるものと思われる。