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24-02-27
人工知能を発明者として記載した出願の適法性に対する各国特許庁及び司法部の判断が、続々と最終結論に至っている中、現在までのところ韓国特許庁と(行政)法院も他国と同様に、特許出願の発明者は自然人でなければならないので、人工知能を発明者として記載した出願は適法でないという立場だ。
人工知能が発明者として認められるかどうかが世界的に活発に議論されている状況で、韓国特許庁は2023年7月から約2ヶ月にわたり、産業財産権分野における人工知能に対する国民の認識を問う対国民アンケートを実施し、その結果を発表した。当該アンケートは一般の国民が参加する一般人用と、人工知能専門家(アンケート参加者の約50%が弁理士)が参加する専門家用とに区別され多少異なる内容で行われた。
人工知能が発明にどの程度寄与できると思うかに関するアンケートに対し、人間の介入がなくても自ら技術的問題を認識し解決できる水準にあると答えた一般人は13%である反面、専門家は2%のみだった。また、人間と共に技術的問題の解決に寄与できる水準にあると答えた一般人は70%である反面、専門家は32%に過ぎず、全般的に一般人のほうが専門家に比べ人工知能の能力を高く評価していることが分かった。
また、人工知能がした発明の保護程度を問うアンケートに、保護は必要ないと答えた一般人は25%、特許よりも低い水準で保護すべきであるとした一般人は50%にも達した。一方、専門家には人工知能がした発明の保護が必要であることを前提としてその保護期間を聞いた。その結果、「5年」と答えた専門家が36%、特許と同じ水準の「20年」と答えた専門家が34%でほとんど同一だった。これにより専門家のほうが一般人よりも人工知能がした発明の保護に積極的であることが分かった。
専門家用アンケートでは、人工知能を発明者と特許権者として認めることができるかについて追加質問した。
まず、人工知能を発明者として認めることができるという意見が39.2%を占めた。さらに、これを認める専門家に人工知能を発明者として記載する適切な方式を問うアンケートには、特許出願明細書に人工知能が発明に寄与した過程を詳細に記載する方式が適切だという意見が35.3%、人工知能を共同発明者として記載する方式が33.3%、人工知能を活用した発明者を記載する方式が25.3%であり、人工知能を発明者として記載する方式については様々な意見があった。
また、人工知能が特許権を所有できるようにすることに対して専門家の75.6%が反対の立場を示した。人工知能が発明に一部でも寄与した場合、当該特許権は誰に付与されるべきかを問うアンケートには、人工知能に発明させた人工知能の使用者に権利が付与されるべきだという意見が50.5%、人工知能の開発者が22.7%、人工知能の所有者が16.2%と示された。
このような対国民アンケートの結果から、一般人に比べ人工知能の能力を低く評価する傾向を示す専門家の約40%が人工知能を発明者として記載することには賛同しており、人工知能の能力が高度化していくことにつれてその比率は高くなるものと予想される。現在、当所が代理しているいわゆる「DABUS事件」は人工知能を発明者として記載する特許出願の適法性が争点であり、韓国法院はその判断においてこのような流れを考慮すべきだと思われる。