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23-09-01
韓国特許庁が、(i) 優先審査対象の一部縮小と、(ii) 存続期間延長除外期間の拡大に関する特許法・実用新案法施行令改正案を2023 年8 月 24 日付で公開したことを下記のようにお知らせいたします。
今回の施行令改正案にて韓国特許庁では次の 2つの事項を改正しました。
1. 優先審査対象の縮小
韓国ではPPH 、第三者実施、出願人実施を含む様々な事由に基づいて優先審査申請をすることができます。特に現行の特許法・実用新案法施行令によれば、 韓国特許庁が指定した専門機関によって実施された先行技術調査結果を添付して優先審査申請をすることが可能です。しかし、今回の改正案ではこのような 先行技術調査結果に基づく優先審査申請を申請理由から除く予定です。因みに、海外出願人はPPHに基づく優先審査申請を利用すれば良いので、今回の改正が及ぼす影響は制限的であるものとみられます。
2. 存続期間延長(PTA)の計算時に除外される出願人による遅延期間の拡大
韓国では特許・実用新案の出願日から 4年と出願審査請求日から3 年のうちの遅い日よりも遅延して特許権・実用新案権の設定登録がなされた場合に、その遅延した期間分、当該特許権の存続期間延長を申請することができます。ただし、下式のように出願人により遅延した期間は延長可能期間から除外され、かかる例としては、特許庁からの各種の通知書に対する対応期間、出願人の申請によって延長された期間などがあります。
[延長可能な存続期間 ]=[ 延長基準日から設定登録日までの期間( 橙色にて表示)] -[ 出願人により遅延した期間(緑色 にて表示)]
* 黄色 にて表示の線は延長基準日を設定するための期間を示します。
今回の改正案では「出願人により遅延した期間」に下記のような2つの新たな項目を追加する予定です:
a. 特許決定以降に再審査を請求した場合、特許決定の謄本の送達を受けた日から再審査による特許の可否の決定をした日までの期間
特許法によれば、特許決定後 3ヶ月内に再審査を請求することができます。また、通常、再審査を請求してから3 ヶ月内に審査結果が出る傾向にあります。今回の改正案によれば、下図の 緑色(a)の期間( すなわち、最大約6ヶ月 )が延長可能期間から更に除外されることになります。
b. 拒絶決定に対して不服審判を請求した場合、拒絶決定の謄本の送達を受けた日から審判を請求した日までの期間
特許法によれば、拒絶決定後3ヶ月内に不服審判を請求することができ、この期限は 60日まで延長可能です。今回の改正案によれば、下図の緑色(b) の期間(すなわち、最大約 5ヶ月) が延長可能期間から更に除外されることになります。
このような改正を考慮するとき、自分の出願が PTA申請対象になると予想される場合 ( すなわち、出願日から4 年と審査請求日から 3年のうちの遅い日よりも遅延して設定登録がなされると予想される場合 ) 、PTA 期間を出来る限り長く認められるためには、可及的早期に再審査又は不服審判を請求した方が有利であるものとみられます。
上記の改正案は国民意見取りまとめ及び法制処での審査を経た後、別段の事情がなければ 2024 年 1月 1日 から該改正案通り施行される予定です。なお、該改正案の進捗経過を引き続きモニタし、変更事項などがありましたら再度お知らせいたします。