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21-08-05
本事案の特許出願は、ポータブルセンサー装置からの心音図(PCG)及び心電図(ECG)データの分析に関するもので、韓国特許庁(KIPO)は、請求された発明が3個の引用発明及び周知技術の結合に比べて進歩性を欠いているという理由で、当該出願を最終的に拒絶しました。しかし、LEE INTERNATIONALは、該拒絶決定に不服して特許審判院(IPTAB)に不服審判を請求し、技術説明会を申請することで積極的に対応しました。その結果、特許審判院は、請求された発明は、引用発明1-3及び周知技術と構成及び効果において差異があるので、進歩性があるという当方の主張を認めながら、拒絶決定を取り消す審決を2021年5月4日に下して、当該出願を審査部に差し戻しました。
当該出願の請求された発明は、心音図データと心電図データを時間セグメントに分割し、低品質の時間セグメントは廃棄し、高品質の時間セグメントのみに基づいて心臓が追加の検査を必要とするものとみなされるか否かを決定することを特徴としています。しかし、審査官は、請求された発明の技術的特徴は、引用発明と周知技術とを結合して通常の技術者が適用上の具体的な環境変化に応じて容易に設計変更して発明することができたものであるという立場を取りました。特に、審査官は、合理的な根拠の提示なく、請求された発明の効果が予測可能な程度以上の顕著な効果ではないと断定していました。しかし、LEE INTERNATIONALは、i)請求された発明は、心臓の一周期を複数のセグメントに分割するのに対し、引用発明は、完全な心周期に基づく分割のみを開示しているという点で、構成が互いに異なっており、ii)請求された発明の心音図データの品質が閾値レベルよりも大きく、心電図データの品質が閾値レベルよりも大きい場合、該心音図データと心電図データの時間セグメントのみに基づいて、心臓が追加の検査を必要とするものとみなされるか否かを決定する構成は、引用発明及び周知技術に開示又は示唆されていないという点を確認することができました。したがって、請求された発明は、引用発明及び周知技術と構成が明らかに異なっており、それにより顕著な効果を奏するにもかかわらず、合理的な根拠の提示なく拒絶決定を下した審査官の判断の不当性を争うために、LEE INTERNATIONALは特許審判院に不服審判を請求しました。審判段階で、LEE INTERNATIONALは、請求の理由書及び技術説明会にて、明細書の記載及び図面を利用して構成上の差異を詳細に説明することで技術の重要なポイントが見落とされないようにしました。また、LEE INTERNATIONALは、構成の差異による技術的意義をさらに強調するために、請求された発明から得られる引用発明と区別できる技術的な効果、つまり、品質が十分でないセグメント(心周期の部分集合(subset))のみ廃棄されるので、多くのデータを廃棄する必要がなく、心臓データのより安全かつ正確な分析が可能であるという点を明確に明らかにしておきました。そこで、特許審判院は、LEE INTERNATIONALの主張を受け入れ、当該出願の請求された発明の進歩性を確認する審決を下しました。
本事案は、複数の引用発明及び周知技術の結合から単純設計変更が可能であるという理由で進歩性が否定された場合、請求された発明と引用発明及び周知技術との間の構成上の差異が進歩性が認められるために十分な技術的意義があることを示すために、このような構成上の差異から導出できる技術的効果を提示する方式で対応することができることを示す例として参考になるといえます。